開発の背景✦

文章が放つ本来のニュアンスをそのまま届けるツール

Transeptは、Mariia IvakhnenkoとVitalii Vlasiukが2025年に開発したAI翻訳ワークスペースです。文学部出身の2人は、自分たちの文章を別の言語へ届けられるツールを探しましたが、見つかりませんでした。翻訳は、何が書かれているかだけでなく、どう感じられるかまで残すべきだと考えています。

Transept創業者、MariiaとVitalii
Mariia & Vitalii — Transept
I.

創業の経緯

書き手が2人、課題は1つ。

Vitalii:12万語の風刺ロマンスファンタジーを書きました。借金に溺れる魔法使いたち、ウォール街さえ良心的に見えるほどあくどい多元宇宙の経済、そしてそのすべてに絡めとられた恋の物語です。

Mariia:私が書いているのは、実在の人物をもとに、そのとき「どう感じたか」を軸に描いたセミフィクションの物語です。登場する人たちの多くは外国の人で、出会いも、会話も、ともに過ごした瞬間もすべて英語でした。だから作品も英語で書きました。でも時々考えるのです。「彼らの母国語」で書かなかったことで、彼らのどんな一面を描き逃してしまったのだろう、と。

Vitalii:私は同じ問題に、反対側からぶつかりました。どのツールも言葉は残しても、「声」を消してしまうのです。トーン、リズム、機知、感情の手ざわり。何ひとつ残りませんでした。どれも、入れたときより平板になって返ってきました。

2人:そこで、自分たちにできることをしました。機械翻訳の研究を読み、Claude、GPT、Gemini、いくつかのオープンモデルを同じ50ページの章で比べて、正確さ、トーン、そして風刺がきちんと効いているかを評価しました。3つすべてを満たしたモデルは1つもなく、どれもそれぞれ違う形で失敗しました。そして、始めたときに欲しかったツールを自分たちで作りました。

II.

開発者について

Transeptの共同創業者、MariiaとVitaliiです。チームはこの2人だけです。AIライティングのスタートアップLitero AIで出会い、当時Mariiaはプロダクトとプロダクトマーケティングを統括し、VitaliiはAIエンジニアリングを率いていました。Transeptは本業と並行して開発しています。Mariiaはプロダクト機能の開発、マーケティング、CRM、広報を担当し、VitaliiはAIを開発しています。

Mariia Ivakhnenko(共同創業者)

英語学・英文学の学位を2つ持ち、3つの大学で学びました。タラス・シェフチェンコ記念キーウ国立大学で学士号、オストラヴァ大学で修士号を取得し、Erasmus+の交換留学でザルツブルク大学に在籍しました。言語:ウクライナ語(母国語)、英語(ビジネスレベル、IELTS 7.0)、チェコ語(日常会話レベル)、ドイツ語(学習中)。

フィンテックアプリInvityのCRM・ライフサイクルマーケティングマネージャーとして、3万人以上のユーザーを対象に、メール、プッシュ通知、アプリ内メッセージでのオンボーディング、アクティベーション、リテンション、休眠ユーザーの呼び戻しを担当しています。以前はSnov.ioでメールとライフサイクルマーケティングを担当し、Litero AIではプロンプトエンジニア(2023年)からプロダクトマネージャー兼プロダクトマーケティングマネージャーになりました。AnthropicのClaude Code in Action認定を取得(2026年3月)。Transeptではプロダクト機能の開発、マーケティング、CRM、広報を担当しています。

本業のかたわら、実在の人物をもとに、そのときどう感じたかを軸に描いたセミフィクションの物語を書いています。未発表で、いまも執筆中です。言語と言語のあいだで何がこぼれ落ちるのか。彼女が何度も立ち返る問いです。

MariiaのLinkedIn →

Vitalii Vlasiuk(共同創業者)

キーウ国立言語大学で言語・文学の学士号を取得したのち、ソフトウェア開発の道へ。言語:ウクライナ語(母国語)、英語(ビジネスレベル)、ドイツ語(学習中)。

SumUpのシニア機械学習エンジニアとして、加盟店向けAIアシスタントを開発し、その評価を担っています。ベンチマーク基盤、マルチエージェント型のビジネスインテリジェンスアシスタント、サポート向けのOCR文書処理などを手がけています。以前はDeloitteとの契約で、リアルタイム医療アシスタントを支えるLLMジャッジを再構築したほか、3年半にわたってスタートアップ向けのAIコンサルティングに携わり、フィンテックやゲーム開発の分野でLangGraphエージェント、RAGパイプライン、本番運用のアシスタントを構築しました。さらに前はLitero AIのシニアAIエンジニアとして、月間アクティブユーザー50,000人にLLM機能を届けました。Transeptでは、翻訳パイプラインを支える機械学習・AIエンジニアを務めています。

また、小説家としてはじっくり創作を進めるタイプで、机の引き出しのどこかには12万語に及ぶ風刺ロマンスファンタジーが眠っています。AI翻訳ツールと自身の書いた散文との間で生じた摩擦こそが、すべての始まりでした。

VitaliiのLinkedIn →

III.

目指す未来

現在、Transeptはドキュメントに対応しています。アップロード、翻訳、文ごとの編集、エクスポートが可能です。しかし、目指す先はもっと大きなものです。書いた文章が、独自の持ち味を失うことなくあらゆる言語で存在できるワークスペース。使うほどに学習していく、より優れた用語集。すでに使っているツールとの、いっそう緊密な連携。そして、優れた人間の翻訳者が何週間もかけて仕上げるレベルに迫る翻訳品質を、わずか数分で届けることです。

IV.

お気軽にご連絡ください

すぐに連絡がつきます。声はちゃんと届きます。